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結果、パフォーマンスは大成功。カナメはケイトと並び「二大歌姫」と呼ばれるようになり、新一年生達を完全に魅了したのだが…、
「では、改めてカナメさん!俺と友達に…せめて知り合いに!」
恋愛などに縁の無かったカナメに、突然やってきた告白の嵐。
…正直、耐えられなかった。
「いやだぁぁぁ!」
やっぱり逃げ出したカナメ。残された二人は、同時にため息をつく。
「嫌われたねぇ」
「は、はい…て、同期だったか」
「そうだよ~。どう?私と付き合う?」
「いや、遠慮する」
「へへへ…冗談だよ」
「そうか」
逃げ出したカナメが向かう先は、ケイトの居場所。…今の時間なら音楽室か。
音楽室を見つけると、カナメはドアを開いて言った。
「けけ、けけけけケイト!」
「あ、また?」
ケイトの反応は冷たい。…いや、さすがに十回も逃げ込まれると、かわいそうよりも嫉妬を感じる。
「ふう…さて、今日はどんな自慢をしてくれるのかしら?」
「自慢じゃないもん!」
そう言いつつ話を聞いてくれるケイトは、やっぱり良い友達だ。
「やっほ~!やっぱりいた『二大歌姫』!」
そしてかほりは…、
「春の運動会なんだけど…」
「「もう嫌!」」
二人を売り出すのに頑張っている。目標は芸能界らしい。ちなみにキミカは、最後まで自力でやりたいとプロデュースを辞退している。
「そう言わずに~」
「今、わわ私がどうなってるか!」
「少しはこっちの都合も考えなさいよ!」
そんな愉快な三人組。カナメは、かほりに振り回され妹に笑われケイトに同情してもらう今の生活が、とても気に入っている。だから…、
「いい?芸能界に行くとね…」
「「行かない!」」
かほりの野望には付き合わない、芸能界なんて行かない。ずっとこんなんだったらいいなぁ…そう、思うのだった。
「いい?卒業した後ってのはあなた達みたいな芸達者が…」
嫌な事を言うな、この…
「バカぁぁぁ!」
「へ?」
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