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週末。学年末テスト前になり、かほりの陸上部もケイトの合唱部もやっていない。ケイト、かほり、カナメの三人で集まって勉強するのは、テスト前の恒例行事だ。そして、今日はカナメの家に集まることになっていた。
「やっほ~!かほりん参上!」
「お邪魔しますね?」
十時、いつものようにやってきた二人を迎えたのは…
「やっほ~!上がって上がって!」
カナメの妹、舞扇キミカであった。
「あれぇ?お姉ちゃんは?」
かほりの純粋な質問。
「うーんと…」
キミカはノリの良い快活な中学生で、話す時もハキハキとしている。だから、こんな風に詰まったように話すのは珍しいことなのだ。
「逆に聞いていい?」
不安そうに、キミカが質問を返す。
「お姉ちゃん、何かあったの?」
「何かって?」
かほりは聞き返す…が、心当たりはある。きっと塞ぎ込んでいるのだろう。
「なんかね、部屋で一日中歌っているのよ」
「「は?」」
ケイトとかほり、二人の声が重なる。が、かほりはすぐに理解した。
「なるほどねぇ…」
「何かわかったの?」
聞き返すケイト。かほりは得意そうな顔をして言う。
「カナっち、ケイちゃんに嫉妬してるのよ~?」
「もしかして、歌で?どうして今更…」
高校で知り合ってから、幾度となく一緒にカラオケに行ったカナメ。どうして今更…?
ケイトは聞いた。そしてかほりの説明をうけて、激怒した。
「何なのよそれ…カナメは学校では大人しくしていたいんでしょ?だったらそれを邪魔するなんて…」
「それが違うので~す」
かほりはチャラけて答え、また説明を始める。同じく説明を聞いていたキミカも、関心したように言う。
「さっすがかほりん!よく分かってんじゃん!」
「…?」
ケイトは訳が分からない。しかしその時、自分も軽い気持ちでカナメに代役を頼もうとしていた事を思い出し、怒りではなく恥じらいで顔を赤らめる。
「…で、どうするのよ」
ケイトは聞く。
二人には何か秘策があるのだろうか?
「知りたい?知りたい?」
大事な話をもったいぶるのは、かほりの悪癖の一つだ。
「CMの後で!」
「ふざけないで」
さすがにこの態度には、ケイトも怒り心頭だ。
「かほりんかほりん、字数制限無いからCM行かないよ」
「な、何だって~!」
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