歌姫

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 一階、リビング。 「ケイトさん、うまくやったかなぁ…」 「ふっふっふ…私の計略に不可能は無い!」 「かほりん怖~い!」 「何を?ファンが増えすぎて携帯が使い物にならなくなった『金中の歌姫』様が何をおっしゃるかな?」 「『金高の歌姫』をプロデュースした、あなたほどではございませんよ~?」 「しかし来年度からは君も『金高の歌姫』だねぇ?」 「おやおや?三人目の『歌姫』がいれば、ユニットを組むというのもありでは?」 「それはカナっちの出来次第だねぇ…」 「へっへっへっへ…」 「ふっふっふっふ…」  キミカとかほりが、何やら不穏な会話をしていた。  かほりとキミカね仲が良いのは決して、ノリが合うという理由だけでは無い。キミカは自力で『歌姫』の座を獲得し、かほりはケイトを『歌姫』に仕立て上げたちゃっかりさん。  お互いに違った方法で『歌姫』を手に入れた者同士、実力を認め合っているのだ。 「さぁて、かほりんプロデュースの『歌姫カナメ』は、どんな出来ですかな?」 「ふっふっふっふ…それはねぇ…と、二人が来たよ?」  二人が降りてくる足音。 「本当だ、じゃ、シーだね」 「だね」  かほり達は頷きあって、話題を勉強会用に切り替える。…こうしてケイト達はいつも騙されるのだ。 「二人とも、聞いて」  部屋に入ると、カナメは開口一番に言った。となりのケイトは無言だ。 「なにかにゃ~?」 「お姉ちゃん、顔怖いよ~?」  知らないフリをしている二人。見事な猫かぶり。 「私…『光の中で』を、みんなの前で歌いたい!」  来たぁ!…とは言わない黒幕二人。キミカもかほりも演技派だ。 「かほりちゃん…協力して」  真剣な目をしているカナメ。それを受けて、かほりも応えるように表情を硬くする。 「分かった…でも、言っておくべき事があるの」  いつになく真剣に返すかほり。カナメは唾を飲む。
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