プロローグ

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私は天使。だけど死神。 天使の住まう、天上界。天使である私は、当然そこに住んでいる。 私は947番目の天使。天使に名は無い。だから947が私の名前。皆はクシナって呼ぶけど。 天使は死なず、老いず、衰えず。いわゆる不老不死。 つまり私も死なない。だから一生涯、私は死神だ。 天使は全員で千人いる。天使は子をなすことが出来ず、増えることがない。 不老不死だから減りもしない。そんな千人に共通すること、いや、私を除いた九百九十九人に共通すること。 それは、生きとし生ける者を殺すことが出来ないこと。規則ではない。生き物を殺そうとした瞬間、体の動きが止まるのだ。 でも、私は殺せる。生き物に死を与えることが出来る。千人の天使の中で、私だけが生き物を殺せるのだ。 それは、生き物を殺さないことを信条としてきた天使の汚点であり矛盾点。 天使にとって、明らかに好ましくない存在。本来なら、迫害やらイジメやらが起こるはずだった。 それが天使らしくないのも事実だが、私が天使らしくないのだから仕方ない。 そこで我らが大天使、九百九十九人の天使を創ったとされる天使。つまりは一番目の天使が、私にある役目を与えた。 それは、私にしか出来ない役目。生き物を殺せる、私にしか出来ない役目。 それは当然────殺すこと。対象は人間。でも、無差別じゃ無い。
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