( ゚∀゚)

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  ビデオの最後で、ギコは言った。 「ジョルジュ、元気でやれよー」 いつもみたいにへらへら笑っていた。ベッドで胡座を掻きながら、手を振る。 それが、俺の知るギコの最後だった。 (*゚ー゚)「ギコくん、なんだって?」 次の日会いに行くと、彼女の赤い目元は綺麗に隠れていた。俺は途中買ってきたアイスを渡す。  _ ( ゚∀゚)「しぃちゃんに手出したら許さんって」 (*゚ー゚)「……ふふ、自分は他人の物なーんでも手出してたくせにね」  _ ( ゚∀゚)「パンツとかな」 (*゚ー゚)「楽しみにとっておいたプリンも」 くすくすと笑う彼女は、それでもやっぱり気丈に振る舞っているのがわかった。そういや、いつか言われたことがある。 「お前らなんっか似てるんだよな」 一遍に叱り飛ばされ、眉尻を下げながらそう言ったあいつの顔が忘れられない。 (*゚ー゚)「ギコくんはジョルジュくんのことホントに大好きだったよね」  _ ( ゚∀゚)「――おいおい、今更ホモ疑惑とか勘弁なんだが」 (*゚ー゚)「ああもう、そうやって茶化すんだから……」 初めて俺達の家にやって来たとき。彼女は、すごい剣幕でギコを叱りつけた。 ――どうして服は服で仕舞えないの?! 箱でもなんでもいいから散らばってる荷物全部詰めて! ああもう、掃除機貸して! 食べかすはゴミ箱! 要らないものは捨てるの! ああ、こいつにはこのぐらいのタイプが丁度いいんだろうな、とションボリした奴を見ながら思った。 まあでも、まさかそれから半年もしないで結婚するとは予想外だったが。  
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