2664人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
ビデオの最後で、ギコは言った。
「ジョルジュ、元気でやれよー」
いつもみたいにへらへら笑っていた。ベッドで胡座を掻きながら、手を振る。
それが、俺の知るギコの最後だった。
(*゚ー゚)「ギコくん、なんだって?」
次の日会いに行くと、彼女の赤い目元は綺麗に隠れていた。俺は途中買ってきたアイスを渡す。
_
( ゚∀゚)「しぃちゃんに手出したら許さんって」
(*゚ー゚)「……ふふ、自分は他人の物なーんでも手出してたくせにね」
_
( ゚∀゚)「パンツとかな」
(*゚ー゚)「楽しみにとっておいたプリンも」
くすくすと笑う彼女は、それでもやっぱり気丈に振る舞っているのがわかった。そういや、いつか言われたことがある。
「お前らなんっか似てるんだよな」
一遍に叱り飛ばされ、眉尻を下げながらそう言ったあいつの顔が忘れられない。
(*゚ー゚)「ギコくんはジョルジュくんのことホントに大好きだったよね」
_
( ゚∀゚)「――おいおい、今更ホモ疑惑とか勘弁なんだが」
(*゚ー゚)「ああもう、そうやって茶化すんだから……」
初めて俺達の家にやって来たとき。彼女は、すごい剣幕でギコを叱りつけた。
――どうして服は服で仕舞えないの?!
箱でもなんでもいいから散らばってる荷物全部詰めて!
ああもう、掃除機貸して!
食べかすはゴミ箱!
要らないものは捨てるの!
ああ、こいつにはこのぐらいのタイプが丁度いいんだろうな、とションボリした奴を見ながら思った。
まあでも、まさかそれから半年もしないで結婚するとは予想外だったが。
最初のコメントを投稿しよう!