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出会ったあの日、二人の運命は重なった。
脈打つ鼓動が、ざわめく森のように。
高鳴る心臓が、空を舞う雪のように。
ドクン。ドクン。となり始める。
時間が止まり、静かな呼吸は止まる。
まるで、海に潜っているかのように。
すぐに目が覚める太陽も、静かに照らす月も、柔らかく吹き抜ける風も、全てが味方しをしてくれているかのように思えたあの時。
気がつけば、時計の針はもう、12時、華やかなシンデレラから、元の世界に戻る。
いつも見ていた風景や匂いは、枯れた葉っぱと水のない海。
みずみずしい真夏の果実から、枯れた木の実へと変わってゆく。
二人の心の中を映し出すかのような季節と、止まらない時間だけが過ぎてゆく。
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