三、心

3/6
前へ
/33ページ
次へ
この後、会議があり、それはすぐに終わった 内容は、新政府軍について 土方は、すぐに自室に戻り椅子に座った 「もう少しか」 新政府軍の総攻撃まであと少し この知識は、綾乃から 多少なりとも、新選組については知ってはいたからだ 「刀のいらない時代が来る、か」 自身の腰に差してある小刀をおもむろに抜いてみる 曇りのない直刃の刃紋 旅行で歩いてた時に感じた不思議な感覚 あって当然なんだ あのあたりを、くまなく歩いたのだから ゛池田屋事件゛ あの時の事、一回思い出してみるか ========= 確か、元治元年六月五日 その日の早朝に捕らえた、古高俊太郎からの恐ろしき攘夷派の企てを知った俺たちは、すぐに行動に移したんだ 気取られねーように、祇園の町会所に集まってから、皆武装をして、隊を二つに分けて、旅宿を虱潰しにあたった 近藤勇を筆頭とする、沖田、永倉、藤堂ら十人 土方を筆頭とする、斎藤、原田ら二十三人 俺たちは、鴨川を境にして東側の旅宿の探索をした どの旅宿をあたってもハズレばかり そのうちに、誰かが池田屋が当たりだと知らせに来たんだ 俺はすぐに駆け出した その直ぐ後を、斎藤一っていう無口な奴がついていた 三条の橋を渡って池田屋に着くと、そこは地獄みてぇなとこだった
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

132人が本棚に入れています
本棚に追加