二、明治

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気がつけば、私は謎の光に包まれていた 何故だか、怖いとは感じなかった 安心感さえあったかもしれない ========= 「ん?」 覚醒しきれていない頭 だが、一瞬で現実に戻された 「土方さん!土方さん!」 涙ながら、誰かの名を呼び続ける少年が目の前にいたからだ 一瞬、目を疑ったが深呼吸してみる そうすると、自然と誰かの記憶のようなものが、頭の中を支配していた 「鉄之助、お前はまだ若いんだ! 生きろ!生きて生きて、今、まさに変わろうとしている日本を見届けるんだ!」 「土方…さん」 そうか…この子は市村鉄之助という小姓で、いつも一緒だった子だ 私は、土方というらしい 土方歳三が私の生まれる前の名前なのか 「鉄之助、必ず届けてくれよ」 口が勝手に動く あぁ、私、いま笑ってるんだな 頭の中に流れ込んでくる 昔の私の記憶は、不器用で自分勝手で、無口で恐れられていたりとしている 人を斬り、暗殺もし、敵も味方も殺した記憶 それら全てが流れ込んでくる  
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