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チハルさんは確かに兄さんが昔からオレに言い聞かせていたような優しい人だった。
一気にいままでの不安や恐怖が消えて、
オレはチハルさんの胸の中でそのまま意識を手放した。
「…ずいぶんと色んなことがあったのね…」
その暖かい手で、優しく撫でてくれた。
…気持ち良いや…
――――――――――ッ
ふと、起きなければいけない気がして起床した。
すでに3日たっていることはそのときオレにはわからなかったが、ただ会いたくなった。
早く会わなくちゃいけない気がした。
誰に?
兄さんに。
窓を開け 5年ぶりに力を使ってみる。
ふわり 飛んだかと思うと そのまま地面に叩き付けられた。
「いたたた……あれ?」
オレは小さく笑った。
自分が飛んだ窓を見ると
一階だった。
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