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馬鹿だなぁ、と思いながら自分の飛び降りた窓を見る。
そこには、チハルさん。
「どうしたの!?クロちゃん!!??」
きっとオレが落ちた時の音を聞いて駆けつけたのだろう。
チハルさんの親切が嫌いなわけではない。
だからと言ってここにずっといたいわけではない。
兄さんに会いたい…!
少し悪いなと思いながらオレは、今の思いを率直に伝えた。
「あの…オレ…帰りた―「クロちゃん…どちらへ?」
オレの言葉の途中でチハルさんは尋ねた。
どちらへ………?
どういうこと…?
でも、
それはすぐにわかった。
「兄さんの、オレの一番大切な人のもとへ」
そう言うとチハルさんはオレに何かを投げた。
とっさに受け取ると、
それは小さなお守りだった。
チハルさんに会って、最初の夜にしていた縫い物の正体だった。
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