虚ろな灰への餞

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虚ろな灰への餞

帰路照らした か細い街灯を頼りにして 乾いた口で歌う 憂いを含む紫陽花の雫 風の宴 暖かく笑え 厚い雲で覆う 舞い散る唄 探せ 探せ ここにはない 揺れた緋は消えていた 鈍色栄えた服 染み込む悲哀 白菊 添えて飾ろう 美しい 貴方の為 雨音 零れ煌めく 偲び鳴く燕 目隠しをしてれば 怖くはないと囁く そう言ったのは泡沫の日かな ほら はらひら 宴にのせて揺らり 朧気 纏う餞 蜻蛉のように 燃えて 煙る 連ねた一抹は霞み 何処へ消えたの 遠くまで伸びた孤影の独言 白菊 添えて飾ろう 愛しい 貴方の為 晴れ間 見えた気がした 高く飛ぶ燕  
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