開幕

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「さあ…入りましょう…嗚呼…二人の永遠に…左様なら…無秩序な此の世界よ。私は確かに愛して居た…」   少女は私の手を強くひいた。私は少女の手を引離し、柩の中に突き落とした。少女は硝子に罅が入るような悲鳴をあげ、暗闇の中に墜ちて行った。私は柩の蓋を閉め、墓を埋めた。   「なんで…なんでェ―――――…………私を愛して下さったのに…嗚呼…なんでなんでなんでなんでェ―――――――――…………………」   少女の泣声が腐敗した土の下から聞えてくる。   「なんで…なんでェ―――――…………私を愛して下さったのに…嗚呼…なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでェ―――――――――…………………」   私は土の下から聞える悲鳴を聞いて、孤独では無いと云ふ感覚を初めて知った。
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