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広い校舎の中で沢山の人がざわめいている。 そんな中で、俺は一人ぽつんとベンチに座っていた。 「ねぇ、またあの人よ。よく此処にいるのね……」 「そうだよね、あんなんでよく此処に入れたわよね」 また、陰口か……。 俺は、この大学に入ってから、出会う人皆に何かと悪口を言われる。 だが、その理由はいまいちわからない。 今では慣れたが、以前はかなり苦しんだ。 だから、この大学では友達と呼べる存在がいない。 まぁ、辛いといえば、辛い学生生活だ。 しかも俺は、俺に対する突き刺さるような視線が嫌いだ。 陰口を言うのは勝手だが、出来れば見ないでほしい。 俺はそんな視線から逃れるためにベンチを後にした。
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