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俺が向かったのは、防音室。 個室だから誰も入って来ることがなく、ここでなら思う存分フルートが吹ける。 だから俺は此処が好きだ。 俺は、部屋に入ると直ぐにフルートのケースを取り出した。 何となく続けてきたフルート。 しかし、今は何となく好きだ。 俺は頭部管を中から取り出すと、口に当てて試し吹きをする。 そしてチューナーを取り出すと、電源を入れて、アンブシュアに気をつけながら音を出した。 もともと、フルートというのは頭部管のみで吹くとA(ラ)の音が出るようになっている。 そのため、チューナーは、Aという文字を表示し、針は左からちょうど真ん中まできて静止した。 完璧だ。 俺は満足の笑みを浮かべた。
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