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思わず俺は振り返っていた。
そこにいたのは、長い茶色の髪を背中まで伸ばし、モデルのようにスラッとした体型をした女。
顔は、中の上ってとこか……。
俺はフルートを口から離した。
「……何の用だ?」
とりあえず確かめる。
「何も。ただ、扉が少し開いていたから入ってみたの。」
この女……
音がするから人がいるのはわかったはずだ。
俺はあからさまにしかめ面をしてみせる。
「あ、そうそう。あなた、感情ってものはないの?」
女は突然、そんなことを聞いた。
俺に感情がないだと……?
「あるに決まってるだろう。」
怒りを抑えようとしたが、俺の声は思ったよりも低い声になっていた。
「そう。それにしては、あなたの音、無表情で感情がないわ。」
女は、髪を邪魔だというように後ろに払う。
その様子はまるで何処かの女王のようだ。
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