翌日

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「彼女は、700…いえ800年生き続けた、最強・最古の魔女よ」  黒芝は静かに語り出した。此処は例のランドマークタワー前の公園…魔界の事もあって、避けたい気もしたが、黒芝(一般人)には関係無い話だ。  俺は昼休みの誤解を何とか解き、放課後にはその話も殆ど消えていた。だが、「彼女では無い」と言うだけであって、俺が女子と二人きりで出掛けると言う事実は覆らない為、相変わらず変な視線は続いているが…。 「うん、お前なら大丈夫だ、俺が保証する!」 (何の保証だ…)  齋藤の意味不明な応援を背に教室を後にして、待ち合わせ場所の図書館へ向かった。果して彼女は…居た。図書室の中で誰かと話していた。 「あら、神童先輩。そんな所に立っていないで、こちらへ来たらどうかしら?」 「あぁ…」  促されるままに二人の下へ向かった。 「紹介するわ、2年A組の天見 修[あまみ しゅう]くんよ」  紹介された男子は俺に軽く頭を下げた、取り敢えず俺も下げ返す。 (天見…まさかな)  ふと頭を過ぎったのは、とある天才…現代魔術と呼ばれる新魔術の創造主の名だ。 (そんな偶然、有る訳無いか…)  勝手にそう決め付ける。そんな考え事をしている間に俺の紹介は終わった様だ。 「それじゃ天見くん、後は任せたわよ」 「はいはい…」  黒芝は天見にそれだけ言って図書室を出た、俺も天見に軽く会釈して後を追う。余談だが、彼は今日早退したらしいが、図書室を任せる為だけに呼び戻したらしい…申し訳無い事をした。  そしてその後、公園まで歩き、用意周到な事に彼女は持って来ていた布を芝の上に敷き(何故か黒芝がブーツとストッキングを脱いで座るという、奇怪な行動に出た為、少し口論(?)になったが…)、少し雑談をしてから今に到る。 「800年…相当だな」 「えぇ、魔女の中でも異常に秀逸した存在よ。と言っても私が知っている彼女はその800の内のたった100、200程度なのだけれど…」  それだけ知っていれば、上等過ぎるくらいだ。俺に到っては、ほぼ何も知らなかったのだから。 「彼女が『トゥーレ』という魔術団体に加わった頃から、やっと詳しい事が解ったくらいだもの。それでもまだ謎の多い魔女よ」 「トゥーレ…」  聞いた事のある名だが、思い出せない。 「所で先輩?」  黒芝がふと声を掛けて来た。 「先輩は彼女の何が知りたいのかしら?」
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