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ふと気付くと人の塊は薄れ、いつもと同じ程の人数になっていた。
「何だったんだ…?」
口に出してみたものの、内心はそこまで気にしている訳では無かった。
「…」
そんな矢先に俺はある気配を感じた…。
「浩か…」
案の定、視線の先から浩達が歩いてきた。俺はそう慌てる訳でも無く、その場から離れる。
「女子達も一緒か…」
グループの中に見知った女子数人を確認する…となると、尚の事会いたくない。
男子も去ることながら、女子からの嫌われ度は相当のモノだ。
(長居しても、そう良い事がある訳でも無いしな…出るか)
買い物は済んでいたので、アヤナスから出る事にした。
「…」
それなりに時間を掛けたつもりだったが、まだ時間が余ってしまっている…少し悩んでから、公園へ向かう事にした。
「ふぅ…」
公園の芝生に座り一息つく。公園と言っても遊具が有る訳ではなく、ただ芝生と木が植えられているだけの広い空間だ。それ故に恋人の憩いの場になっている様だが…俺は滅多に人に干渉されない此処が好きだった。
「…」
徐に携帯電話を開く…メールが着ている事を確認してメールボックスを開こうとした瞬間だった。
「ぅぐ…ッ!」
右腕に激痛が走った。否、正確には右腕のアノ部分に…。
「――ッ!?」
声にならない声を上げ、右腕を抱えながら俺は蹲った。
「ぐぁあぁぁー!!」
叫ぶと同時に世界が砕けた様な気がした。
やっとの思いで顔を上げた俺の目に飛び込んで来たのは…。
「…!」
赤く…赤く染まった世界だった。
「何…だ…コレは…?」
辺りを見る…人は消え、鳥すらも見当たらない…そして…。
「月が…黒い…。…! ランドマークタワーが!」
はっきりとその姿を現した目に見える"歪"…赤い世界、黒い月、ランドマークタワーが消え、代わりに建つ6本の塔の様なモノ…他に何か無いか、と振り返った先に有る木が視界に入った時、木の影で"何か"が蠢いた。
「ッ!?」
その"何か"を凝視する。くっきりと見えたその姿は"ヒトの顔をした化け物"だった。
「闇精霊[ラルヴァ]!?」
一般人は聞き慣れないであろう単語…だが一般人所か人間が居ない中、そんな事を気にしている場合では無い…俺は右手を横に伸ばした…。
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