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「ひゃっほー!」
一人の少女が、宙に浮かぶボードに乗りながら、木々の間を縫うように、猛スピードで滑空していた。
青空のように青い、快活そうな光を宿した丸みのある瞳をしている。本来は肘くらいまである長い黒髪を、黒にオレンジのラインが入った帽子の中に収納している。
服装は黒の半袖シャツに、ベージュの裾が広いズボンを履いている。動き易い、どちらかといえば男の子らしい格好をしていた。
少女──リンネル・リィンカースは楽しそうな笑みを浮かべながらも、スピードを緩めることなくボードを乗り回している。
乗っているボードはW(ウィング)ボードと呼ばれていて、天駆に所属している者だけが所有することを許される代物だ。もちろん、リンネルも天駆に所属している。
天駆──数年前、突如発生した謎の生命体、シドの脅威から住民を守るべく作られた組織だ。彼らはWボードで自由に空を舞い、シドと戦い続けている。
リンネルはふと、自分が天駆に入ったことを思い出していた。年齢制限のない天駆に入ったのは十四歳。あれから三年経ったのかと、リンネルは時が経つのは早いと思い、苦笑を浮かべる。
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