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ストラはすぐにリンネルを乗せれば、リンネルは何とか体勢を立て直してその上に立って乗り、海面スレスレを飛んだ。ギリギリ間に合い、ボードの滑空による風圧で海面が波立つ。
「うっわー……危なかったなぁ。でも、危機的状況も乗り越えるなんて、さすがアタシっ」
冷や汗を浮かべながら本当に危なかったと思いつつも、リンネルは先程の自分の対応を自画自賛していた。自業自得だということに気付かなければ、それを指摘する者もいない。
「ふっふっふっ……アタシの才能にひれ伏すがいい、愚民共!はーっはっ──はぁっ!?」
どんどん調子に乗り、高笑いをし出したリンネルだったが、またもや前方不注意となっていた。
いつの間にか点々と浮かんでいる孤島の中へと入ってしまったらしく、ボードが岩にぶつかり、リンネルの体を再び浮遊感が襲う。
「ちょっ──!」
宙を舞うリンネルの向かう先には、オアシスのようにある孤島の泉だった。腐海ではないため死ぬことはないにしろ、さすがにずぶ濡れで帰るのも嫌だ。
しかし、ストラを呼ぼうにも呼ぶだけの余裕もなく、リンネルは泉の中へと突っ込み、派手に水飛沫を上げる。まあ、呼べたとしても結局間に合わなかっただろうが。
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