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†×†
「はっ──くしゅ!」
天駆の廊下を歩きながら、リンネルは濡れた頭をタオルで拭き、小さくくしゃみをした。
天駆へと戻り、服を乾かすついでにシャワーを浴びたのだが、やはりちゃんと湯船に浸かった方がよかったかと思いながら、リンネルは小さく鼻をすする。
今は髪をタオルで拭いているため、帽子は被っていないので、本来の長い髪が姿を現していた。その長い髪があるだけで、印象も女の子らしさが強くなる。
ある程度髪が乾いてくれば、ちょうど目的の部屋の前までたどり着き、リンネルは扉の脇にあるパネルにパスワードを入力した。
入力したパスワードを認証し、それが正しいことを報せるような電子音が鳴り、目の前にある扉が開く。
髪を拭いていたタオルを肩にかけて、リンネルがその部屋の中に入ると、部屋の中央に置かれたベンチには、既に先客が座っていた。
ボサボサの茶髪に、眠たそうにしている切れ長の翡翠を思わせるような瞳をしている少年である。
黒のタートルネックのシャツに、紺のダメージジーンズ。両手には指の部分がない赤いグローブをはめていて、両耳には翼の形をしたピアスを着けていた。
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