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「よく考えると、こうやって仲西さんとゆっくり話すのも初めてですよね」
「確かに……。会社で話すことってなかなかないですからね。実は今日根岸さんと話せてラッキーって思ってるんですよ?」
「またまた。俺によいしょしても発注は増えませんよ? 俺はヒラですから」
根岸さんが人懐こい笑みを見せた。俺の胸がトクンと高鳴る。
「下心はないですよ。単純に飲めて嬉しいだけです」
「本当ですか?」
「うわ。俺そんなに信用ないですか?」
冗談ですよ、と根岸さんが俺だけに笑顔を向けてくれる。
俺の心臓はバクバクいって、今にも破裂しそうだ。しかしそれが彼にバレないように、つとめて平静を装う。
俺が勤務する(株)サンライズは、事務用品の販売業だ。俺はルートセールスの仕事に就いていて、注文のあった品や新発売の試供品を納品して回り、また同時に受注もとってくる。務用品といってもその幅は広く、コピー用紙からラックなどの什器、印刷業務など多岐にわたっている。
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