美しい悪魔

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そんな事を考えながら玄関のドアを開け、自分の部屋へと向かった。 部屋へ戻ると、一帯が待望の朝日を浴びて喜んでいるのか、 窓から差し込む光に空気中を舞うほこり達がキラキラと輝いていた。 窓を開けるとそれは一斉に踊り出し、暖かく気持ちの良い風は部屋全体の空気を昨日から今日へと入れ替えている。 僕はゆっくりと椅子に腰かけ、机に置いてある1冊の本を手に取り読み始めた。 母が亡くなって3ヶ月が過ぎ、僕は様々な文献を読み漁った。 まずは世界の国名や地名全てを調べ、トルベラという場所が無いかを調べた。 そして、歴史的偉大な人物が出版した本なども徹底的に読み続け、何かヒントに繋がる物を探していた。 今現在の段階で分かった事、それは、この地球上にはやはりトルベラという地名、建物名は存在しないという事だ。 そして、あの写真に写っている風景もこの世界には存在しない。 もちろん写真家でトルベラという名前の人物も存在しなかった。
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