運命の1日

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そうしている間にも作業は終わり、僕は瑠衣さんのおへそ辺りに出来たいびつな結び目を指差しながら、 「これが瑠衣さんの身を守ってくれます。 僕が下に降りたら、ここを少しずつ引っ張って下さい。 そうすれば楽に降下出来ますから」 この作業の意味を表面上は理解しながらも、それ以上に不思議そうな顔をして、 「う、うん。分かった。でも、この土をどうやって……」 「ごめんなさい。ちょっと後ろ向いてしゃがんで下さい」 急かすようにそう告げると、彼女は何回か小刻みに首を動かし、井戸の方へと体を向け、その場にしゃがみこんだ。 それを確認した僕は、勢いよく地面を蹴り上げ瑠衣さんの頭上にあるロープを掴み、靴底をレンガに擦りつけた。
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