美しい悪魔

3/46
前へ
/1916ページ
次へ
母の日記を見つけてから3ヶ月が経ち、ブーデルはいつも通り、新しい自転車で僕の家の前を通って学校へ通っている。 でも僕はもう学校へは行っていなかった。 「変わり者」という変なニックネームを付けられたのも理由の1つではあるけど、そんなの僕にとっては小さな事、それより何より起きている全ての時間をトルベラ探しに費やしたかったからだ。 分かりきった中学校の授業も嫌いでは無かったけど、そこではトルベラについては教えてくれない。 それが最大の理由だった。 自転車に乗って消えていく熊のように大きく丸いブーデルの背中を見つめながら、何も入っていないポストを後に玄関へと足を向けた。 父も母も失った僕は可哀想だけど、ブーデルもブーデルで今人生の岐路に立たされている。 これはブーデルから聞いた話だけど、どうやら最近ブーデルのお父さんの様子がおかしいらしい。
/1916ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61226人が本棚に入れています
本棚に追加