美しい悪魔

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夕方前に買い物を終えた僕は、入学祝いに母が買ってくれたお気に入りの自転車にまたがり、左足でスタンドを蹴り上げようとしていた。 いつもはいちいち目で見なくてもすぐ上がるのに、その日は何故だかなかなか上がらなくて、いらいらしながら何度も靴の裏でスタンドを蹴り上げていた。 「ガチャ」っという音が鳴り、やっとの思いで地面が僕の自転車を解放してくれる。 「さて行こう」 と視線を前方に上げた瞬間、目の前のカフェにブーデルのお父さんの姿が見えた。 隣にいるのはテレビでも見た事がある有名な学者だった。 その時の第一印象は、聞いていた話しとは違い、ブーデルのお父さんは一緒にお茶をしている学者と楽しそうに話をしていた。
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