運命の1日

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そして、そのまま一気に地上までの距離を駆け上がり、4、5メートルを上昇した所で足を止めた。 すぐさま下を見下ろし状況を確認する。 そこには何かを悟ったのか、不安に埋め尽くされた彼女の顔が存在していた。 正直、もっと安全で確実な選択肢は幾らでもあった。 ロープにバケツを括りつけて、1杯ずつ土を詰め込んで地上に運ぶ方法や、明日の朝まで待てば、業者を呼んでやってもらう事だって出来る。 でも、それ以上に早く結果を出せる方法が僕の頭の中にはあって、最早それ以外の方法など選択の余地もなかった。 それほどまでに、この細胞が、この好奇心が沸き上がり、1分1秒でも早くその先の事実を知りたがっている。 今の僕には危険や恐怖を抑え込む事は出来ても、この胸の高鳴りだけは抑え込む事が出来そうにない。 内心、そこまでの興奮が全身を駆け巡っている。 1番危険かも知れないけど、1番最短でここを突破出来る方法。 それは、僕自身が重りとなりあの扉を突き破る事だ。
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