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「敵襲!敵襲だぁー!」
見張り番による声が村全体に響きわたる。
「敵襲だと?敵の規模は?」
すぐ近くに待機していたラインが見張り番に尋ねる。
「村全体を囲むようにして陣があり、その数は百近くになるかと」
「百だと!……ただの山賊にしては多すぎる」
このテレスの村は工業的な発展は乏しい。
しかし、その代わり豊かな土壌そして、立地条件の良さによる守りやすさ故に山賊に度々狙われていた。
「だとしたら……」
山賊でないとしたら、他に襲ってくるものが頭にない。
「とりあえずいつも通りの布陣を敷く。女子供の避難を優先して行わせろ!」
「了解!」
なれた様子でみんなが動き始めた。
そして、敵がテレスの村に突入してきた。
「あれは!」
一方ユリアンはいまだに家にいた。
「こんの馬鹿息子が!」
「いて!なんだよ親父!」
寝ているところを無理やり起こされたユリアンは、不機嫌な声で怒鳴り返す。
「敵襲だ。行くぞ」
「敵!……わかった」
ユリアンの顔は厳しく引き締まり、ベッドから飛び起き、二本の木刀をホルダーに提げ家から飛び出した。
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