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世界が崩れる音がした。
当たり前にあった生活は、一瞬にして壊されてしまった。
「僕達が何をしたって言うの?」
突然の軍の攻撃により両親を失い、佇む少年はポツリとそう呟いた。
「僕は……僕はどうすればいいの?」
誰も答えてくれないのはわかっている。
何故ならその少年以外は皆軍によって殺されてしまったから。
それでもこの現実を信じたくない少年は、そう口に出すしかなかった。
襲い来る孤独感と絶望から、少年はその場にへたり込んだ。
昨日まで近くにいた両親、優しくしてくれた近所のおばさん。
毎日日が暮れるまで一緒に遊んだ友達。
その全ての人が今はもういない。
「僕も死んじゃうのかな?」
震える声を絞り出し、発したその言葉は少年の絶望感をさらに増加させた。
「嫌だ……死にたくない」
少年は昔読んだ本の内容を思い出していた。
その本にはこう書いてあった。
『光があるから闇があり、正義があるから悪がある。やられたらやり返せ、さもなくば死あるのみ』
「そうだ、やられたらやり返せばいいんだ!」
少年は生きる気力を取り戻した。
しかし、その代わりに復讐という修羅道に堕ちてしまった。
父親が残した、『人を怨むな、強く生きてくれ』と言う言葉も忘れて……。
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