第一章~自分の瞳で世界を見てくる~

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「まったくあいつは……」 緩い坂道をのぼりながらそう呟いた。 帝国が発展を続ける中、このテレスの村は辺り一面緑ばかりの村だ。 言ってしまえば田舎……と言うことだが。 坂をのぼりきり、開けた場所には綺麗な湖があった。 「……やっと見つけたぞユリアン!」 その湖のほとりに佇んでいたユリアンと言う少年は、赤髪で細身の少年だった。 「よっ、ライン!」 ラインと呼ばれた青年は、銀色の髪を揺らしながらユリアンに駆け寄った。 「よっ、じゃないだろユリアン!今日は剣術の免許皆伝の試験をするって言われてただろ?」 「そんなことかよ……俺そんなものいらねえもん」 めんどくさそうな表情でユリアンはラインに答えた。 「まったく……お前がどう思おうが、お前は正統後継者なんだ。親父がまた泣くぞ?」 「泣けばいいんじゃね?なんならお前にやるよ」 「俺には無理さ。本当の息子じゃないしな」 ラインは小さいときにユリアンの父に拾われた。 要するに養子だ。 ユリアンの父は剣の達人で、息子であるユリアンにも小さいときから剣術を教えていた。 父はユリアンを正統後継者にしようと思い育ててきた。それ故にラインがなるわけにはいかないのだ。 しかし、ユリアンは全くその気がない。 「俺はそんな肩書きいらないし、守れる自信もない。俺は親父とは違うからさ」 ユリアンも父の事を尊敬してないわけでは無い。 むしろ尊敬している。だからこそ、その肩書きが重いと感じてしまうのだ。
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