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「どうかした?」
ボーっと考え込んでいたので、急に声を掛けられて驚いた。
「いや…ただの考えごと」
自分の所属する組織ですら、狂気への認識をズラしているだろう。
「おいおい。そんなんじゃ困るぜ、対バイオテロ対策組織北米支部員、ティガ・アストナージさんよ」
同期の男であるフェイ・ウォンに肩をど突かれる。
椅子に座っていたのに、ぐらりとバランスを崩す。
ダルマのように、すぐにバランスを取り戻したが。
「やめてくれよ。ウォン」
ウォンは言わずとも、わかるだろうが中国人だ。
今は、ティガと同じように北米支部で働いている。
「お前はマジメすぎんの。まったく…社会を変えるのは自分だ。みたいな顔しやがって」
短い黒髪を揺らしながら、ウォンは歩いていく。
そのまま近くにあった椅子に座り込んだ。
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