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ムカつく。
ムカつく。
すげぇムカつく。
やもやしたものが、腹の中でざわめきだすのを感じる。
俺は、しばらくの間黙ったままそいつを見つめていた。
俺の視線に気づいたのか。
女は視線だけこちらに向けると、ため息をついて、本をぱたんと閉じた。
「一体何なんですか。用がないなら、睨むのやめてくれません?」
黒い瞳が真っ直ぐに俺を見る。
俺も見つめ返す。
「用ならある」
「なんなんですか?」
「お前に興味があるんだよ」
「はぁ…?私に?」
「そう、お前に」
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