天界の異変

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長老の家から飛び去った キラは、森の中にある泉へとむかう。 (みんなが…  消えちゃったなんて) 「…私に…  何かできるかしら…?」 そう呟くと、 泉の淵に座り水に触れる。 「みんなに…何があったのか、  教えて?……」 そう呟くと、 水面に魔法陣をかいた。 小さく呪文を唱える。 それに応えるかのように 水が揺れ、 一人の天使の姿を映した。 「ルイ…っ。一体何があったの  ?」 逃げ惑うルイの姿に触れようと したときだった。 「キラ…。何をしている?」 急に名前を呼ばれ 後ろを振り返ると、 険しい顔のサリエルが 立っていた。 「っ…!…サリ…エル…様!」 「キラ…。」 近づくサリエルに恐怖を覚えた。 「なぜ…ミカエルと同じ魔法が  使える?お前は、風の魔法だ  けのはず…。なんで水の魔法  ができるのだ?」 冷たい青い瞳が キラを逃がさなかった。 いつも無表情の美しい顔が 今日は怖かった。 そんなサリエルから離れるため 後ろへ翔んだ。 「ご…ごめな…さい…。  もう使いません。  だから…許して……。」 「キラ…。俺は、怒っているん  じゃない。降りておいで。」  サリエルが怖かった。持って生まれた 魔法の力は皆1つだけ。 魔力によって 使える魔法は増えるが それでも4つが限界。 ただし大天使のみに限る。 ましてや、 ただの守護天使のキラが 強い魔力などあるはずもなかった。 すべての魔法が使える天使は、 神の血族だけだった。 しかし、 それは純血のみに許される 魔法の力…。 でも…自分は…純血じゃない。 それに…8つの力はない。 中途半端な自分… きっと責められる… それが怖かった。 「他の魔法なんて…使えません  …。私の魔法の力は…風だけ  です…!…っ…う…っ!!」 キラの胸に痛みが走り 顔が苦痛に歪む。 「キラっ!」 「サリエル…様…。私は…風し  か使いません…。だからっ。  ……っ!」 キラの息づかいが荒くなる。 「キラ…ダメだ…。  嘘をついちゃダメだ。  お前を傷つけるつもりはない  んだ。…おいで…大丈夫だか  ら…降りておいで…。」 サリエルが優しく諭し 手を差しのべた。 その声と言葉に 少し痛みが和らいだ。 「…本当に?…ここに…  いれる?」
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