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悲鳴が轟く中、
ある部屋の一室に、
まだ10歳くらいだろうか、
血にまみれ、
目を見開いたたまま
ただ一点を見つめる、
幼い少女がいた。
その少女の前には、
2つの天使の遺体があった。
そんな少女に、
1人の少年が近寄る。
そして少女の頬に優しく触れた。
「ごめん…
守るって…約束…したのに」
今にも泣きそうな…
そんな声だった。
「俺達が…
君を…傷つけたんだね…」
悔しそうに顔を歪めた。
「でも…もうさせないから…」
「もう…
傷つけたりしないから…」
「…大好きだよ…例え離れても
…もう会えなくても…
俺は…っ」
少女を抱きしめると、
その唇に自分の唇を優しく重ねた。
「俺の力を置いていくよ。
…いつか…俺を殺して…。
最後の…約束だよ…。」
少女は何も答えることはなかった。
聞いているかさえ
分からないくらい
彼女の心は壊れかけていた。
「さようなら…キリエラ…。
大好きだよ…」
少年は、
名残り惜しそうに少女を見つめながらその場を去っていった。
大天使達は
その惨劇を隠すかのように
8つの力で結界を張り
ルシフェルの町を封印したのだった。
――10年後
堕天使となった彼等の背中には
黒い翼があった。
悪魔と姿を変え、
彼等が動き始める。
魔王ルシファーの名のもとに…
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