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神殿の中には、
光る泉があり、
天使達は、そこを通り、
人間界に行き来していた。
キラが、
神殿から顔を出すと、
太陽はもう沈んでしまっていた。
(あ~あ…。
またやっちゃった…。
どうか、見つかりませんよう
に……。)
そうっと階段を降りる。
「キラ!!」
「っ…わっ……。」
突然かけられた声に
その場で立ちすくんでしまう。
「ラッ…ラファエル様!
…ごっ…ごめんなさい…。」
ラファエルは七大天使の1人スローンズの隊長。
スローンズ(座天使)は
上位3隊の
No.2の地位にあたる騎馬隊だ。
赤い髪に赤い瞳。
白銀の甲冑に
大剣を背負っていた。
ラファエルは、
言葉使いは乱暴だが、
厳しく温かい性格で
皆の信頼を得ている。
「っ……まだ…何も言ってない
ぞ…」
キラが、
頭を下げたことに
面喰らったラファエル。
そんなラファエルを覗きこみ、不思議そうにキラは聞いた。
「何か…あったんですか?
いつもなら“いいかげにしろ
!”って怒るのに……。」
呑気な顔のキラに
ラファエルは
“怒られたいのか?”
と聞き直し、苦笑した。
「心配しなくてもいい。
サリエルが、カンカンに怒っ
てたからな。」
意地悪な笑みで
キラの頭をクシャッと撫でる。
そして小さく
“無事でよかった”と呟きその場を去った。
――天界には、
階級が定められていた。
上位3隊のトップにいるのは
ケルビム隊(智天使)と呼ばれ、栄光と知識を司り
水と氷と風と雷を操る
大天使ミカエルが指揮をとっていた。
いつも優しく微笑んでいるが、感情をあまり出さず、
冷静な天使だった。
次にスローンズ
力と信頼を司り
炎と風と雷を操る
大天使ラファエルが続き、
上位3隊の最後に、
ドミニオンズ隊(主天使)。
指揮は、
月と魂を司り
風と地と闇を操る
大天使サリエルだった。
言葉数は少ないが、
よく周りに気を配っているのがサリエルだ。
その下に
さらに3隊続く形になっている。
その全ての指揮をするのが
セラフィム(熾天使)
と呼ばれていた。
そしてもう1つ
全ての力の源を操り
もっとも気高い天使。
聖天使…
神に唯一近い天使。
神に選ばれ血を受け継いだ者達
――その天使達は、
今はもう無い―――
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