プロローグ

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彼女は、ごく普通だった。 さらさらの黒髪に、真新しい制服を一切崩さずに着ている様は、彼女を『真面目』というカテゴリーに含むには十分だった。 そんな彼女の右手には、生徒手帳。 校則について目を通しているらしい。 桜の花びらが風に踊る。 髪を抑え、目を細める彼女は実に可憐だった。 鈴を転がしたかのような声が、彼女の口から零れる。 『…不純異性交友の禁止ってことは、同性ならいいってことか?』 彼女は、 腐女子だった。 .
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