さくら

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from H to A この世界は私に優しくありませんでした。 どんなに美しい風景を見ても、そこに君がいなければ全てが色褪せて見えます。 私も君の後を追って、新たな楽園で君と共に過ごしたい。 でも君はこの世界をとてもとても愛していたから、君が愛したこの世界でもう少し頑張ってみる事にしました。 でも気持ちが挫けそうです。 例え君が愛した世界でも、君という存在がいなければとても愛着が持てそうになくて。 今思えば私とこの世界の接点は君だったかもしれないです。 社会も人間関係も全てが君を通して私と繋がっていました。 そんな君がいなくなって私に残るのは孤独だけでした。 そして私は次第に蝕まれていきました。 分かるんです。 私は狂っているって。 無性に君をこの世界に呼び戻したいって。 君さえいてくれるなら私は千年の苦しみにすら耐えられます。 だから私はF君とY君を殺しました。 私に従ってくれなかったからです。 それを君は短慮だと思いますか? 嗚呼、そんな目を向けないで下さい。 何よりも君に非難されるのが私にとって一番辛い事なのですから。 君の親友だったR嬢は生かしておきました。 知識を提供してくれるだけの生ける屍とも言えますが。 君の親友だったから命だけは助けておきました。 狂ってますか? 私は狂ってますか? だったら…。 だったら早く蘇って私を断罪して下さい! それまで私は止まらない。 私の狂気は止まらないですから。
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