さくら

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何十合、何百合と打ち合っただろう。 その激しく美しい剣舞もやがて終焉を迎える。 「そこ…だあああっ!」 「あああっ!」 甲高い音と共に女の刀が折られる。 「勝負有り…てかぁ?」 「…殺せ!妾を早く殺すがいいっ!」 刀を失って立ち尽くす女に旋は近寄る。 そして女の顎に手をかける。 「良い女じゃねえか…」 「な、嬲るなっ!妾を生かしておけば…ん…っ!」 旋は女の唇を塞いだ。 「んん…っ!ん…はあ…っ…お、お主…何を…」 「女…俺のモノになれよ、な?」 「た、戯れを…あ…んっ!」 旋の手が女の乳房を掴む。 「この反応…未通女か、お前?」 「し、知らぬ…そんなの…お主に関係な…ああっ!」 旋は強引に女を抱き寄せて言った。 「どうせ散るなら…男を知ってからにしなよ、な?」 「か、勝手な…そんな理屈…」 「ぶっちゃければ俺がお前とヤりたいだけなんだがな」 「こ、この色狂いが…お主なんか…お主なんかに…」 「な、いいだろ?」 「………勝手にするがいい。どうせ妾の生殺与奪の権はお主のモノじゃからな」 そして女は旋に手折られた。 桜の木の下、裸のまま背中を合わせて座る二人。 「初めてとは思えない位反応良かったな、お前?」 「…喧しいわ。お主が妾を気持ちよくした癖に…」 顔を赤らめて俯く女。 旋は桜の花びらを見ながら言った。 「こいつを切りゃあ、お前は解放されるのかよ?」 旋の言葉に女は答える。 「お前呼ばわりは好かぬ。妾の名は咲耶。そう呼ぶがいい。そしてお主の問いの答えじゃがな…木が滅べば妾は解放される。死という名の解放じゃがのう…」 「じゃあさっきお前…咲耶を斬っても、この木を切っても咲耶の存在は残らなくなる、ってワケか?」 「こんな罪深い女がのうのう生きていていい世界じゃなかろう?じゃがな…じゃからこそ無理矢理とはいえお主に抱かれて逝けるこの身が今は幸せだと思う。お主の背の温もり…それがこんなに心地良く感じる」 そして咲耶は意を決して言った。 「さあ…妾でも木でもどちらでも構わぬ。切っておくれ」
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