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彼との出会いはよく覚えている。
数年前－。
その日暮らしがやっとの、場末の歓楽街。
いつ明けるのか分からない夜の中で燻り、この身を売ることだけしか出来なかった僕が、じいやさんに拾われ、怪盗として売り出し始めた頃。
スリの元締め程度にすらてこずっていた僕の前にふらりと現れた彼が、
「挨拶代わりに」
と相手を気持ちよくなぎ倒してくれたのだ。
そうこの力。
屈したくないものに抗える、この力が僕はずっと欲しかった。
あの時生まれて初めて、僕は神というものに「彼が欲しい」と祈った。
この身を捧げろと言うなら、それでも構わないと思った。
その後僕の誘いをあっさりと受け、仲間に加わってくれた彼と、速攻で願いを叶えてくれた、名も知らぬ気前のいい神には感謝している。
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