第零章

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 不合格の烙印を胸に家へ帰ると母が激怒していた。  「このクソ野郎。あんたなんか産むんじゃなかった!」  実の母からの非道な罵倒に俺は絶望した。  実の息子に向かってクソ野郎とはあんまりである。  訳すと大便男。確かにそんな子供は産みたくないだろう。  こんな罵詈雑言を受けるなんて、受験一家の長男は大変である。  しばらくすると、父が仕事から帰ってきた。  父は幾分、冷静で息子の不合格の報せを聞いても大便男と母の様に連呼する事は無かった。  流石、父。
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