出会い

1/7
前へ
/227ページ
次へ

出会い

 クソ暑い夏も終わりに近づいて、少しずつ街並みも紅葉に染まってきた…この物語はそんな季節から始まる。  田舎と都会の狭間で育った1人のクソガキ。  それがこの物語の主人公だ。  世間では、幼稚園を受験するなんて話が騒がれ始めていた。  でも、そんなのはテレビのなかの話。  当たり前のように小さい頃から見慣れた顔のなか、なんの違和感ももたず、のほほんとこの町で生きてきた。  シンは、そんな田舎育ちの普通のクソガキだ。  小学校の頃はレスリングに打ち込み、それなりの成績を収めた。  中学に入り、なぜかテニス部に入る。しかし、入ってすぐにカッとなり先生へ鉄挙。退部となってしまった。  シンは、今まで何かしらスポーツに打ち込んでいた。しかし、ちょうどこの事件を境に夏休みに入ったこともあったのだろう。  人並みにグレ出すことになる。  自分よりも上の学生とも付き合うようになり、地元の暴走族に入るのにさほど時間はかからなかった。夏休みを過ぎた頃には、シンは立派な田舎ヤンキーへと変貌していた。  まともに学校にも行けず、駅の脇にあるコンビニにたむろして過ごす時間が増えていた。  希望なんてもとからない。今日が楽しければそれでよかった。  シンはその日も相変わらず、コンビニの前に座り込んでいた。いつもつるんでいるショウタと一緒に。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加