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「なぁショウタ、なんかおもしれぇことねぇ? つまんねぇなぁ」
タバコをふかしながらシンは毎日、同じ言葉を繰り返していた。
「まっ楽しいことがあんなら、こんなとこにはいねぇやな、はぁあ」
スポーツをやめ、ただ暇だからなんとなくなったヤンキー。゛族゛に入っても結局は何も変わらず、心にぽっかりと穴が開いたまんまだった。
普通のレールから外れても、結局世界は何も変わらなかった。
「はぁあ」
深いため息が、シンを包んでいた。
「ショウタ、タバコ切れたから買ってくらぁ」
「あっ、俺のも頼むわ」
シンは、いつもタバコを買う自販機に向かった。
まさか、そこにシンの人生を変えるほどの出会いがあるとは思いもしなかった。
自販機のそばには、コンビニから出て、数人で話していた他校の中学生がいた。
この当時、シンは坊主の金髪に眉毛は剃りこみ。同年代から見ればかなりおっかなそうな印象だった。
学校からも浮き始め、昔から仲がよかった友達もシンの周りから離れて行った。
その中学生たちも、シンから目をそらしていた。シンもそんなことには慣れていたし、なんとも思わなかった。
だか、この日だけは違っていた。
コンビニから避けるように去って行った中学生のなかで、たった1人、シンを睨みつけている女の子がいた。
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