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髪は黒いセミロング、真面目でおとなしそうな印象だった。
「なに見てんだよ、ぶさいくが。どけや」
シンは自分を睨みつける女の子に向かって、ガンをつけた。
「ガキがタバコなんか吸って、イキガってんじゃないわよ」
シンは呆気にとられた。今のシンに、まさかこんな真面目そうな子が言い返してくるとは思ってもいなかったからだ。
「てめぇ何様だ? おめぇもガキだろうが」
思わず、シンはムキになってしまった。
「頭金髪にして、タバコ吸ってか弱い女の子に食ってかかって、カッコ悪ぅ。まぁ、私はこれから部活の練習試合だから、あんたみたいな馬鹿とは付き合ってられないから。じゃあね」
女の子はそう言うと、先に行って友達のところへ走って行ってしまった。
「ちょ、ちょ待てやぁ」
シンの精一杯の叫びだった。
「なんだあのやろう」
強がりしか出ず、シンはショウタのもとへ戻って行った。ショウタは一部始終を見ていたらしく、半笑いでシンに話しかけてきた。
「シン、どうした? なんかおもしろいことになったなぁ」
「おもしろくねぇよ! なんなんだよ、あのぶさいく女。まじムカつく」
「そうカッカすんなよ。一服すんべ? ほれ、タバコかして」
シンはイライラしながらも、ショウタと一緒にタバコに火をつけた。それでも、あまり気分は晴れなかった。
「なんなんだよ、あのクソ女」
シンはその日一日中ぼやいていた。なんだかわからないが、さっきのクソ女が気になった仕方がなかった。
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