第三話

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ある4人家族がとある地方の旅館に宿泊。 深夜に娘か母親がトイレで惨殺されているのが発見された。 全身を刃物で滅多刺しにされ、顔面は誰だか判別がつかなくなる程斬り付けられていた。 死体には舌がなかった。 トイレには格子のついた幅30、高さ10程の窓と小さな通風孔があったがとても人の入れる大きさではない。 それにカギもかけられていた。 誰がどこから侵入してきたのか……。 警察はその旅館を経営している夫婦、その息子、近辺の変質者などを聴取したが、現場が密室だったこともあり、迷宮入りになるかと思われた。 だが、ある日、旅館経営者夫婦に付き添われたその息子が署に出頭。 「近所の目もあり、なかなか正直に話すことができなかったが、とんでもないことになったのでお話します」 「息子は盗撮が趣味で再三注意していましたが、事件当夜もビデオカメラで天井裏から個室を撮影していていたのです。 撮影していると格子のはまっている小窓のガラスが開き、ガラスの破片を持った小さな……、いや、このビデオテープに一部始終がはいっていますので・・・。」 息子はビデオテープについて訪ねられると、恐怖が蘇ったのか半狂乱に。 精神に異常をきたすほどの何かがこのテープに入っているのかと思い、捜査員達もテープを再生するのを恐れた。 そのテープには排尿する女性を俯瞰で撮影した映像が収っていた。 和式便器にしゃがんでいた女性が立ち上がろうとしたその時、小窓からガラスの破片らしきものを握った小さな、1520程の 老婆が音もなく飛び込んできた。 女性は悲鳴をあげる間もなく 咽を掻き斬られ、そして顔中を体中を斬り付けられ……。 女性が息絶えると、小さな老婆は死体から舌と頭皮の一部を切闔謔閨A天井を見上げ、「次はおまえだよ」 と言って小窓から出て行った・・・。 舌と、髪の毛のついた頭皮とを持って。 捜査員の中には、嘔吐するもの、泣き出すもの、恐怖の余り失禁する者もいたという。 結局事件は未解決のままだが、警視庁に、件のビデオテープが今なお保管されていると言う。
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