腹黒さの中は?

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「あーゆー奴って、なんかすごいいじめたくなるんだよ」 「そっち!?」  真面目に言い切ったルティスにツッコミ続けるクーレイ。彼は本当に(兄へのツッコミとツヅカへの配慮が)よき弟である。 「何なんだよッ! 本当にツヅカが好きなのかよ!?」 「好きだよ? 好き過ぎてツヅカと手合わせして怪我させた兵を、気絶程度の闇討ちをしてやったからな♪」 「!!?」  またルティスが楽しそうに笑う。その顔は天使のような微笑みなのに、クーレイにはなぜか悪魔の黒い微笑みにしか見えなかった。 「にもかかわらず、ツヅカはへらへら笑って許すし、そいつの怪我を治療……俺、されたことないんだけどなあ……?」  ルティスは窓から、小さな庭園にあるベンチに座り、何事かを叫んでいるツヅカを見る。  クーレイは一瞬、ツヅカを見る兄の目が、餌を狙う飢えた獣か何かに見えた。 「まあいいけど。どのみちツヅカは俺の手の中だし♪」 「…………」  この時、クーレイは思った。 (兄貴……サディスティックにさらに磨きが……)  ただでさえ厄介な兄だったのに、ツヅカが来てから日に日にひどくなっている気がする。  腹黒い兄に隠された奇妙なこの愛情は、果たしてツヅカに届く日が来るのだろうか。 (……永遠に届かない方がいい気がするな――いろんな意味で)              -Fin-
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