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「隣、いい?」
「ん? ああ」
アユミは特に断る理由もないのでこくっと頷く。断れなかったことにシンフィークは嬉しく思いながら彼女の隣に座った。
「……ん。ホントに綺麗」
「だろ?」
「……まあ、アンタほどじゃ……ないけど」
不敵にも見える顔で頷き返され、最後の方はそっぽを向いてごにょごにょと言葉を濁す。
オポシティオとの戦いから、シンフィークはアユミへの意識が強くなっている。……が、本人にはイマイチうまく伝わっていないようだ。
(気づいてくれない……どころか、追求もしないしね……)
シンフィークの気持ちなどこれっぽっちも気づいていない様子である。
アユミ自身はシンフィークに気があるものの、やはり恋愛対象というより、友達として彼を見ていることが多かった。
「……ねぇ、アユミ……」
「ん? なんだ?」
不意に話しかけてもいつもと同じ返事を返す。それに少しちくりと胸が痛んだ。
「アユミはさ、その……恋愛とか、そんなのに興味ないの?」
「……は? 恋愛?」
何言ってんだこいつ、みたいな目で見られたが、シンフィークはそれに気づかず、しどろもどろになりながら言葉を繋げる。
「だってアンタ……兵士とか国民とかに人気だから……その、毎日手紙が……四、五十枚……来てるし」
「ああ……確かにないな。恋愛には興味がない」
事実だけにアユミは否定しなかった。
(……じゃあ……ボクは?)
素直な答えに気持ちが、胸が張り裂けそうになった。気持ちに動かされ、シンフィークは無意識に顔を近づける。
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