18人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あ……ごめん。……寒くなってきたし、戻ろう」
「……ああ」
アユミが頷いたのを見ると、シンフィークは体を彼女からどけてベランダから出た。
部屋に戻り、そのままベッドへと潜り込む。
「……アユミ」
「なんだよ」
「……ずっと、傍にいてくれる?」
ベッドの中で再び抱きしめた。腕や胸に広がる温かさにうとうとしつつ返事を待つ。
「愚問だろ、それ」
「え?」
「……」
意味がわからなかったため、少し間抜けな声を出してしまった。アユミはそれにたいしてため息をつくと、ひょいっと顔を上げる。
「――おまえが、望むなら」
がらでもないことを言ってから真っ赤になり、また胸に顔を埋めた。
「アユミってば……らしくない言葉使っちゃって」
「黙れ。殴るぞ、この俺様わがまま皇子が」
「こっちだって言いたかないっての……」とぶつぶつつぶやく彼女に苦笑しながら、顎に指が置いた。そのまま上へ持ち上げ、視線を合わせる。
「ま……今はこれだけ」
「あっ、お、おい……っ」
シンフィークと唇がまた重なり、アユミはさらに赤面する。
「了承したじゃん」
「……だからっていきなりはないだろ」
赤い顔で食ってかかるが、シンフィークは笑って受け流した。
「じゃないとアユミ、してくれないだろ?」
「……チッ」
仕方なさそうにつぶやく舌打ち。それはシンフィークにしっかりと聞こえていた。
(……そんなんだから、甘えたくなるんだよ……)
どんなにわがまま言おうと、言い合いしようと、肝心な時には必ず助けに入ってくる。
(……ボク、前よりも依存症だな……)
最初のコメントを投稿しよう!