依存症

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「……あ……ごめん。……寒くなってきたし、戻ろう」 「……ああ」  アユミが頷いたのを見ると、シンフィークは体を彼女からどけてベランダから出た。  部屋に戻り、そのままベッドへと潜り込む。 「……アユミ」 「なんだよ」 「……ずっと、傍にいてくれる?」  ベッドの中で再び抱きしめた。腕や胸に広がる温かさにうとうとしつつ返事を待つ。 「愚問だろ、それ」 「え?」 「……」  意味がわからなかったため、少し間抜けな声を出してしまった。アユミはそれにたいしてため息をつくと、ひょいっと顔を上げる。 「――おまえが、望むなら」  がらでもないことを言ってから真っ赤になり、また胸に顔を埋めた。 「アユミってば……らしくない言葉使っちゃって」 「黙れ。殴るぞ、この俺様わがまま皇子が」 「こっちだって言いたかないっての……」とぶつぶつつぶやく彼女に苦笑しながら、顎に指が置いた。そのまま上へ持ち上げ、視線を合わせる。 「ま……今はこれだけ」 「あっ、お、おい……っ」  シンフィークと唇がまた重なり、アユミはさらに赤面する。 「了承したじゃん」 「……だからっていきなりはないだろ」  赤い顔で食ってかかるが、シンフィークは笑って受け流した。 「じゃないとアユミ、してくれないだろ?」 「……チッ」  仕方なさそうにつぶやく舌打ち。それはシンフィークにしっかりと聞こえていた。 (……そんなんだから、甘えたくなるんだよ……)  どんなにわがまま言おうと、言い合いしようと、肝心な時には必ず助けに入ってくる。 (……ボク、前よりも依存症だな……)
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