18人が本棚に入れています
本棚に追加
剣をちらつかせながら黒く笑う兄の言葉に、弟は冷や汗を滝のように流しながら後ずさった。
弟の様子にくっくっ、と喉の奥で笑いを噛み殺す。
「そんな身構えるのはやめろよ。ジョーダンだよ、ジョーダン♪ …………半分は」
「半分は!!?」
ルティスの言葉に目を剥いて驚くクーレイ。半分は、ということは残る半分は本気でクーレイをぼこる気なのだろうか。
「勘弁してくれ、兄貴……。……だからツヅカに逃げられんじゃねぇの」
兄の性格に疲れ果て、ついぼそりとつぶやいてしまう。……が、この腹黒の兄が見逃すはずがなく……。
「……それ、どういう意味だ? このスットコドッコイが」
収めたはずの双剣の片方をまた抜き、それをクーレイに向けるのだった。
「う……っ。だって……」
剣の切っ先を見ながら、クーレイはどこか拗ねた子供のような表情で渋っている。
「だって……なんだ?」
「……俺、知ってんだぞ。兄貴……ツヅカが……」
「…………」
真面目な顔をして口ごもる弟にキョトンとなり、次には、
「……いッッッでぇえええ!!! な、何すんだよ、いきなり!!」
剣の柄の方で、クーレイの頭を思いっきり殴っていた。
「何、はこっちのセリフだって。珍しく急に真剣な顔になったと思ったら……」
「珍しくは余計だ! 喧嘩売ってんかよ!」
頭をガシガシと掻きむしると、クーレイはさらに声を荒げる。
「ツヅカのことだよ! 兄貴がツヅカが好きだってことはもう知ってんだよ!」
「あー、それね? うん、確かに好きだけど?」
「いやにあっさりだな、オイ」
最初のコメントを投稿しよう!