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ぽたぽたと降る雨とじめじめした空気
好きな人間はあんまりいないと思う
「あ~あ…雨かよ」
銀ちゃんはよろず屋の真ん中にある大きな椅子にどっかり座ってギコギコ動かしながら窓を見てそういった
「今日はジャンプの発売日だっていうのに…空はご機嫌ナナメですか、コノヤロー」
「……つまんないアル」
私も何となくつまんなくてぼそっとそう言ってしまった
「だがジャンプ買いてぇしな…ちょっくら行ってくるわ」
「私も行くアル」
「あぁ?しょうがねぇな、そのかわり定春はつれていくなよ」
「えぇ~!?何でアルか!?」
「定春をコンビニには入れられないだろ、嫌なら留守番してろ」
「…わかったアル」
でコンビニに行き銀ちゃんは酢昆布を買ってくれた
でジャンプも買って帰ろうとしたら
「神楽、お前先に帰ってろ」
「え!?何でアルか?何処にいくアルか?」
「ちょっくら用事を思い出してな、すぐに戻るからよ」
と言い私の頭に手を置いてわしゃわしゃして言ってしまった
仕方がないので酢昆布を食べつつ一人で帰り道を歩く
雨の日に一人で歩くと何故か昔の事を思い出す
「弱い奴に用はない」
あの台詞を言われた時も雨だった
その時、雨が私の家族を奪った気がしたんだ
神楽はブルブルと頭を振り
「(私らしくナイネ)」
と気持ちを切り替えた
雨が強くなっている
「(早く帰らなきゃ…)」
急いで走りよろず屋についた
と誰かが階段で座りこんでいる
歳は神楽とかわらないぐらいだろうか、肩をすぎている黒髪がセーラー服に雨のせいではりついていた
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