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――月が出ていた。
あたしは片側の髪をゴムで束ね直しながら線路に沿って歩いてゆく。
「にんにく、にんにく」
口ではあの呪文を唱えている。
お母さんから教わった、ものを探すときに唱えるあの呪文……。
遠くにぼんやりコンビニの明かりが見える。
裸足のまま歩いているから、小石が足の裏を突いて痛い。
「毎晩、精がでるねぇ、サンドリヨン」
コンビニの前で太った少年がガムを噛みながら、語りかけてくる。
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