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食堂を出た私は、テラスから庭に出た。
紫合学院への編入...。
祐実が一緒に来てくれるのは有難い。
しかも一般庶民の私には、こんな機会が無い限り絶対に通えない学校だ。
でも...。
私は自分の意思であの大学に入学した。
学費だって奨学金や特待制度を使って、自力で払ってきた。
最近は祐実以外にも、仲良しの友達もやっと出来た。
なのに...。
それが全て無駄になっちゃう様な気がして...。
紫合家でお世話になっている以上、私は真咲お兄ちゃんの言う通りにしなくちゃいけないのかな?
頭の中はグルグルと色んな事を考えているけれど、一向にまとまらない。
ハッと辺りを見回す。
あれ...ココ、何処?
ただでさえ方向音痴な私が、だだっ広い紫合家の敷地内の庭で、ボケ~っと歩いてたらそら迷子になるか...。
ってそんな事考えてる場合じゃ無いよっ!!
ケータイ!!
...は、持ってないし。
どうしようっ!!!
足を止めるのが怖くて私はしばらく、庭をウロウロしていた。
どんどん歩いて行くと、目の前には綺麗なバラ庭園が広がっていた。
その中心には噴水があり、その噴水の水はほんのりピンク色をしていた。
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