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「今日は入学式だよ。花、この制服着るの凄く楽しみにしてたじゃない」
「それはそうなんだけど……ねぇ、変じゃないかな?」
花は自分のチェックのスカートを摘む。
遥の言う通り、花はこの制服を着る日を楽しみにしていた。それこそ届いた日には鏡の前で何度も着こなしのバランスを確かめたりした程に。
けれど入学式が近づくにつれ、楽しみよりも大きくなっていったのは不安だった。
似合ってなかったら?誰かに笑われたら?
その懸念が足取りを重くしていた。
「大丈夫!何度も言ったでしょ?似合ってるって」
俯いて歩く花を力付けるように遥が頷く。
「それとも何?大親友の遥ちゃんの言葉が信じられないの?」
悲しいなーとおどけられ、花の唇にもようやく笑みが浮かぶ。
「ありがとう……」
解っている。
遥がお世辞などではなく、心から言ってくれていると。
でも。
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